「発想の一番もとのところは、ガラスのレンズ」というように、キャンドルのあかりがポワンと照らされて揺れる。
取材に訪れた時、実験が行われていた。球状に作ったガラス越しに、白い紙を置き、キャンドルのあかりを映している。
「作ってみて、現実にどういうハプニングが起こるか、面白さを探しているところ」。紙には炎が逆さに写っていた。楽しげである。このような実験の場から様々な創造が生まれるのだろう。


倉敷芸術科学大学芸術学部ガラス工芸科教授。日本のガラス展(東京)をはじめ、国内外にて展覧会多数。
磯谷にとって、「ガラスが透明であること」は特別の意味を持つようだ。
「工芸の素材、自分達で扱える素材の中で透明な物質はそうそうない。水や空気は実態がない。実態を手で作れる素材、ガラスは一番身近なもの」「8千年の昔から、ガラスという素材が人間と一緒にある。ガラスと光、あかり、というものを一緒に扱うのはとても楽しい」と言う。
ガラスとの出会いは20歳の頃。飛騨高山に土地を借り、農業をしていた頃。世話になった人が、「倉敷ガラス」の小谷真三氏の支援者であり、そこで始めて小谷氏と出会った。
1995年に倉敷芸術科学大学の開学時に芸術学部助教授に招かれ倉敷へ。その時、小谷真三氏も同大学に教授として迎えられており、相まみえることとなる。ドラマである。
2年前から帽子がお気に入り
キャンドルのあかりがガラス越しにどのように映るか実験中。
磯谷は学生を指導する時、3年生にはテーマのみを与える。4年生になれば、そのテーマも与えない。学生はここで、「ガラス技術を身に付けて、何をするか。何をしたいのか。何を楽しめるのか。人生で、仕事で何をすればいいのか」と、自分と向き合うことになる。
「好奇心を持って生きなさい」と笑う姿が印象に深く残った。
ガラス作家として生きることは大変である。もちろん経済的にも。そういう生活を知った上で、ものを作る生活を楽しむ作家がいる。そんな作家の背中を見て、学生は成長するのだろう。

「皆はきちんとしたキャンドルホルダーを作るだろうから、ちょっと科学的というか、遊びの要素を加えてみた」と生まれた作品。
炎の遊ぶ様子が面白く、サイドボードなどにさり気なく置くと似合いそうだ。(ギャラリー:しをり)